転倒の36日目
もうかなり朝のオネショは慣れてきたもので、腰部分の防水シートも汚さなくなれた。なので毎回洗うということもなく、ファブリーズだけで済ませたりする。
考えようによっては、それだけ遅く寝させている＝トイレに通わせているからオムツの吸水が足りるという事でもあるかもしれないけど…
今日は朝、昼はまあスムーズで、天気も晴れていて母も調子が良さそうだったから、起きれそうだったら桜でも見に行こうかなどと呑気に話していた。それが後であんな事になるとも知らずに…
だいぶ気持ちと体力に余裕が出てきたもので、私は別室を仕事部屋になるよう片付けたり、兄の遺品をまとめていたりしていた。
時々チラチラと母の様子は伺いに行っていたが14時頃、それは起きた。
何かドン、と音がした気がした。慌ててベッドに行くと母が居ない。
ベランダから母の泣くような悲鳴が聞こえた。
母が洗濯物を抱えた状態で倒れてヒーヒーと呻いていた。
母のベッドからは外に干してある洗濯物が見えるから、午後のソワソワが相まってどうしても取り込まなきゃ、家事をしなきゃと思い込んでしまったらしい。
正午から何度も、まだ乾いてないから。私が取り込むから。と言っていたけど認知症にはそれが効かない。
思い込んだら誰が何を言おうがやり遂げたくなってしまうようだ。
しかも今日は体調が良かったものだから、自分でやる！となってしまったみたいで。なぜいつも怖がってばかりいるのによりによってベランダだなんてそんな怖い所に行けたのだろうか…（うちは10階以上の高層階でものすごく怖い）
しかもベランダには邪魔なところにエアコンの室外機が置いてあって、その部分が狭い上に水はけ用の溝の凹凸まである。そこでつまづいたようだった。
とりあえず私一人では起こせない事はわかっているので低い、背のない椅子を持ってきて掴まらせ、起きられるか聞く。
あちこち痛くて起きられない、無理、と言い、私バチが当たったんだとか、私死ぬのかなまだ死にたくない〜早く起こして〜助けて〜とわあわあ悲鳴をあげている。
頰を打って擦りむき、口の端も切れて血が出ている。
一大事なのに妙に私は冷静になってしまった。
パジャマ一枚で倒れていて寒がっているのでとりあえず私のボアパーカーを着せて、肘掛を持ってきて掛ける。
そしてケアマネさんに電話をするとすぐきてくれると言うので待っている間にドアの鍵を開けておき、母にずっと付いて、今助けを呼んだから、もうすぐ来るからと繰り返し、少しずつ楽な体勢を誘導した。でも起き上がれない。
15〜20分くらいした頃だろうか、ケアマネさんが来てくれて、チャイムを押した後すぐ入ってきてくれた。
低い椅子は低すぎてダメだったので、階段状の踏み台のほうがいいとそちらに掴まらせ、一旦座らせた。
それからダイニングチェアに車が付いてたからそれに座らせて、引っ張っていき寝室に近い所まで寄せる。
その後はベッドに移動してもらって寝させる。
なんとか一息つけたのでこうなってしまった状況説明と、起こしのコツを教えてもらった。
うつ伏せの体勢にさせて、ズボンの腰の辺りを引っ張ると起き上がれたりしますよとヒントを貰うがまるで出来る気がしない。ベランダ狭かったし。
アクティブになったのは昨日デイケア行ったらそこからソワソワが激しくなったんですという話をする。
まあまた何か起きたら呼んでくださいと言われる。
ケアマネさんが帰っていき、母の頰と口の脇の消毒をした。母はクヨクヨしていたが一時間後にはもう普通に自分でトイレに行き、お茶を飲み、夕方までいつものようにお菓子を欲しがりだした。
転んだ後はココアをあげたが20分後にはまたココアを飲もうと思ってとか言って起きてきた。そういう記憶ばっかりは残る…
16時を過ぎて自然に暗くなっていくままに、電気を点けないでいたら夜モードになったようであまり起きてこなくなり、寝ているようだった。なので邪魔をされず夕食を作りきる。
17:50くらいにご飯出来たよと呼ぶと寝ぼけながら「なんのご飯？」と言うのでつい「夜ご飯」と答えてしまうと、「夜ご飯は食べたくないの」と言わせてしまったので慌てて「夕ご飯だよ」と言いなおすと、納得して起き出してくる。
ご飯を無事終わり、服薬。
頰と上唇の所が腫れて青アザになりかけている。
（私が虐待したみたいじゃないか…）
19時頃に母がトイレに立ち戻ってきた時、「私お漏らししちゃったの。パンツが濡れてもうビシャビシャなの」と言われたから、リハパンを夜用に取り替えるが2回分くらいしてしまってズッシリ重かった。
ベランダで転んだ時にしてしまったのか、夕方結構おとなしかった時に寝ながらしてしまったのかがわからない。
パジャマのズボンも少し濡れていたからアタック消臭ストロングで漬けおき。
今後これで、どこか痛みが出てきたり、お漏らしが激しくなったりするようになってしまうかな…要様子見だ。
