大満足の37日目

今日は朝食支度途中で、重くなった夜用パンツをぶら下げて寝室入り口まで歩いてこられてギョッとはなったけどなんとか急いで朝食準備。

昨日転倒してから時間がたったが、母の上唇がものすごい青アザになってタラコのように腫れてしまっている。痛かったり喋りにくいとか無いか訊いても特にわからない様子(転倒、怪我をした事自体忘れている)。

昼はまあ無難に過ごす。
宅配弁当の請求書が一食あたり660円になっていて、区の高齢者食事サービス割引の440円になっていないので弁当屋に質問電話すると、区からの認可が通っていないという。

すぐにケアマネさんにiMessageで問い合わせると、サービスを受ける条件が「一人暮らしの高齢者」「高齢者のみの世帯」ということで、私は住民票は移してないんだけども条件には当てはまらないらしく、紛らわしい事言ってすみませんと返ってきた。
全くだよ。期待させるだけして…なら、最初から言ってくれなくてよかったよ。

とにかく本日の母の体調は良いようで、天気、気候も春らしく良い感じでお出掛け日和だ。
お昼を食べてちょっとやすんで、一回トイレに起きてきたところをつかまえた。

「眼医者さん行こう」
病院と聞くと進んで頼りたがる母だから、すんなりと支度に乗ってきた。

さて、初めての私一人で外出介助だ。行きも戻りも安全を確保しながら、安心させながら過ごさせなければならない。頼れるヘルパーさんもケアマネさんも今日はいない。

母に自分でコートを着てもらっているあいだに車椅子を一階上に持っていく。
手を引いて玄関に行き、靴を履かせる。
手を握ったまま戸締りをし、階段を手すりにつかまってゆっくり登ってもらい、私はもう片方の手を支える。

一階上に着いて車椅子に座ってもらい、ショッピングモールの方に行く。
道中、桜並木があるのでよく見える位置に立ち寄る。
風があって冷たく、冷えてしまいそうなのでそこそこにしてモールの中に急ぎ、まずはトイレ。
車椅子用のトイレが空いてて良かった。

母は外に出てからずっと不安がっているので、常にお喋りをする。ショッピングモールの室内に入っても、厚着をさせた母の手は冷えるばかり。車椅子をとめる時は常に母の手を手で温める。

眼鏡屋に到着。
優しい喋り方をする女性に接客してもらえたので、転倒して眼鏡が壊れ気味なこと、現在の眼鏡に似た眼鏡を見立てて欲しい事を伝える。
同色系、同じ質感の眼鏡を数パターン用意してもらい、母にどれが好みか訊くが、いま何をしようとしていて、何を質問されているか理解できない母は不安そうに首をかしげるので代わりに私が似たような眼鏡を見立てる。

鏡を覗いて自分にアザが出来ていること、今かけている眼鏡が歪んでいること、新しい眼鏡をテストしていることを交互に認識するうち、眼鏡を買おうとしていることをどうにか飲み込めた様子。

あまり時間をかけて母を弱らせられないから、すぐに軽量で当たりが柔らかく、母の好みそうな色でデザインを決める。

視力テストを苦労して受けてもらう。
まず機械の前に座るので一苦労。眼鏡をつけて覗くので一苦労。何て文字が書いてあるかまでは理解でき、答えられるが、どちらが良く見えますかと順番にレンズを入れ替えられて訊かれても短期記憶が残らないからそこで苦労。
担当の人が根気よく、優しい声で接してくれたのがとても良かった。

フレーム本体だけで三万越えていたのでレンズのクオリティは下寄りのクラスの、ちょい傷が付きにくいプラスチックレンズにはしてもらい一万五千円で、しめて約五万円…

母がトイレに行きたいと緊張した顔になりだしたので一旦トイレに。車椅子用に先客がおり、普通のトイレに連れて行く。トイレ内がクネクネと曲がっているので何処に行ったらいいかわからなくて不安そうなのでずっと付き添う。

トイレから戻り手続きもなんとか終わり、受け取りに来る日は本人を来させるのは相当に骨が折れそうなのでツルの調整はその場で予めしてもらう。

大変時間をかけてお世話になった事にお礼を述べてミスドに向かう。
母と私のドーナツ2個ずつとホットラテを頼むが、激甘でないと満足できない母はポンデのストロベリーにはいまいち満足出来ない顔だった。カスタードクリームは喜んだ。

なるべく急ぎ足で帰宅。道路のガタガタに乗ると怖がるから、ガタガタエリアを通る時は声掛け。
基本、とにかく怖がらせないよう状況説明。

家目前の階段降りも無事果たし、到着。
家に帰ったらまた新鮮な場所にやってきたみたいなことを言い出す。見慣れた家具でどうにか、朝ここにいた…とは思い出した?様子。

ただ、また混乱と不安を訴えてくるから、お母さんは病気でそういう状態になってるの、といっそ説明してみた。
「何がなんだかわからなくなっちゃうでしょ? それがいま怖いんでしょ?」と。
すると、そうそう、と大きく頷いて、思い当たる事をずばりと言われて安心したような顔をした。

効いてると思い、今の母が感じでいるであろう状態の指摘と、この病気は多くの人がなっていて、みんな困ってる、歳をとるとそういう風になってしまう人が多い病気と繰り返した。ショックは受けなかったようでむしろずばり言われた方が納得できたようだった。

なんか今日は不安が多かったにせよ、フォローが効いたようで、わりと良い体験も出来たとみえて不満の時にする表情(上下の唇を隠す)が無かった。
こんなうまくいった日は同居してから初めてかもしれない。

ただ、やたらと今日は感謝されすぎて、私に夕食食べさせてあげなきゃ、と私が調理してる横から(滅茶苦茶な)手伝いをされそうになったのを何度も止めるのが厄介だった。
エプロンも探しまくられた挙句、どこで見つけたのか枕カバー用の布を無理やり腰に巻いて現れたり。無理に結んでほどけなくなったからほどいてと言ってきたり。

まあそういうのは可愛げで済むのでいい。
夕食をやたら食べたがられるよりなんぼもマシ。

暗くなってからのいつもの買い物外出の際にはダイソーで母の好みそうな色の造花を8本買ってみた。合わせると花束ぽい。100円なのに昔と違って出来がだいぶいい。眼鏡はずした状態で見ると本物みたいにみえる。
家にある水差しに入れてダイニングテーブルに置いてみた。造花といえど、ちょっと華やかな空間は気持ちをあげさせてくれそう。

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