驚きの38日目

今日は午前中も、まるで昨日の満足した記憶が残っているかのように母は大人しく、遠慮しいで丁寧だった。

午前はまあ早めに甘いものを欲しがったりもして、フルーツゼリーをあげたり、一口和菓子をあげたりと午前にプチおやつを二回してしまったけどまあまあそつなくこなす。

お昼も無難。

ただ、午後からはまたいつものようにソワソワが始まった。母のベッドから見えない場所に早々に洗濯物を移動させたのに、どこに取り込んだの?頂戴?となかなか覚えていてしつこく食い下がってくる。
また、洗濯石鹸を自分のタンスにしまったりしだした。
たぶんこれら一連の行動すべて、家事をしなくてはならない思いに突かれているのだろう。

15時過ぎ、驚くことに余所行きの服を着て、腕時計まではめ、ネックレスを付けたりしだした。
そして、せっかくだから出掛けたいと言う。

お外怖いの母が自分から言い出すなんて珍しすぎるから、こちらも大喜びしてみせて「お供しますよ」といつでも出られるような支度をした。
ただ、出かける素振りを見せては「やっぱり寝ていた方がいいような気もするのよね」「迎えの人が来ないと…」「もういっぺんトイレ行ってくる」と、尻込みを何度かして、せっかく着たコートを脱いだり着たりを何度もした。

「私がずっと一緒にいるから」「怖いことが無いようにするから」と言い、母がその気になったタイミングで外に出かけた時はもう16時を過ぎていた。

昨日と同じように支えて車椅子に乗せ、とりあえずまた桜をみて、それからイオンの婦人服コーナーに行ってみた。服飾雑貨コーナーに行き、母の好きそうなものをいくつか勧めていくうちに母の欲しい服があったので買った。

帰りに不二家に寄り、ショーウィンドウからケーキを選んでもらっておみやげにした。
もうかなり陽が落ちてきて17時をすぎたので帰って来た。

家に着いた母の記憶はまたリセットされてしまい、ここのお家の人は何処に行ったの?いつ帰ってくるの?勝手に入って大丈夫なのと不安そうにずっと繰り返された。

急いで夕食を作り、なんとか18:20に食べだした。炊飯が間に合わなかったのでレンチンですぐ食べられるご飯を開けて母に出す。いつもより30分遅れてる。

食べ終えてお腹がいっぱいになったか母に聞くと、いっぱいでは無いと言うから不二家のケーキを出す。
母は大満足でソワソワも落ち着いた。

夜支度をさせてベッドに寝かせるときには「良い一日をありがとうございました」と言われた。
記憶が消えるようで残っている…? よくわからない部分だ。

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