だましだましの68日目

私は久しぶりに6時間くらいぶっ続けで寝れた。睡眠不足が祟ったのと、デイケアどうにか行けるんだ!という安心感からか。

7時に寝室を覗くと母が目を開けている。
「毎日こうして通ってくれて…毎日こんなことして、あなただって体の調子が悪くなっていってるんでしょう?」
朝の母は優しく、しかも鋭い時がある。
チャンネルが繋がってるとでもいうのだろうか? 今なら私を妹ではなく、娘と思ってくれているのだろうか。でも問うことはない。

「具合ぜんぜん悪くないよ。私は好きでここにいるんだからいいんだよ」
「そうお?」

体を起こせるか訊くと、やっぱりダメ。しかも、昨日よりピクリともしない。体を横向きにするのも拒む。
浅くベッドを傾斜させて、りんごジュースなら甘いから釣られるだろうと思って吸い飲みに入れてくるが3口ほど飲んで「もう要らない。飲めない」と止めてしまった。
何がいけないんだろう? 時間的なものなのだろうか。
とりあえずそっとしておいて、8時くらいまで一人で寝室で寝かせて時々様子を見ると、うつらうつらと寝ている様子。

結局何も食べさせず、ほとんど飲ませずで9:10のヘルパーさん来訪時間になってしまった。
いつもの送り出しヘルパーさんが来る。
昨日は時間がかなりタイトになってしまったから、今日は巻きで介助している様子だ。
また私は隠れて様子を伺っていて、母の泣き言が聞こえるが着々と支度をさせられている。
泣き言言われても聞かず、明るくたたみかけるように次の動作を指示したり、着衣させるヘルパーさん。

他人だと言うことを聞かなきゃ、となるのだろうか。泣き言を言いながらも大人しく従っている。
またも、素早く連れ出してもらえた。さすがだ…

2日続けてデイに連れて行ってもらえた反面、5月6日のショートステイに送り出す日に恐怖を覚えた。
私だと、着衣はおろかベッドの傾斜つけるのすら嫌がられる。
この日はヘルパーさん頼んでないから、肝心のショートの日に送り出せないと、大変なことになるのではないか。
すぐケアマネさんに休日中すみませんがとiMessageで相談した。
送り出しはヘルパーさんに頼めないかと。しかし、まだショートの迎えの時間がわかってないとも。

しばらくして返信が来て、自分が立ち会うのでショートの迎えの時間がわかったら連絡ください、30分前に来ますとのことだった。
前も立ち会うって言って一回ドタキャンされたことなかったっけ…その時は問題なく行けたから良かったけど…
まあいい。

さて、今日は私のしたことは、兄の部屋の物の最終片付け(大きい家具除く)。
今まで処分してきた中で一番つらいものが押入れの上から出てきた。私のお雛様セットだ。これは、私が生まれて、おばあちゃんが贈ってくれたもの。
人形には薄紙がかかっていたが、顔を見ることができなくて、紙をかけたまま謝りながらビニールに入れた。

兄の部屋の押入れが全て片付いたので、代わりに貯まりにたまった紙おむつ入りダンボールを詰め込む。
両親分あるし、母が不在時でも定期購入を止められずに届けられていたみたいだから、未開封のダンボールの山が6つくらいある。
今まで部屋に積んであったのがすべて押入れに入れられたから、かなりすっきりした。

午後14時くらいにデイサービスから電話がかかってきて、投薬を一回分しそこねた事を謝ってきた。
でも効いてるんだか効いてないんだかわからないセレネースだから、全然かまわない。
今日の様子を聞くと、安楽に過ごしていて、お昼は完食したと。
なんで他所だとこうも違うんだろう…
あと、確認事項として、今日のデイが最後の利用かどうかという事を確認された。はい、と言い、今までのお礼を伝えた。

今日の夕食は準備しなくてはいけないので出かけずにいた。
17:15に母が帰宅し、いつものように車椅子で行けるところまでは押し、階段で手をとって自宅につれてきた。
やっぱり半歩以下の進みしかできないし、しょっちゅう崩折れそうになって怖いがなんとか到着。

このようにして出かけ先から帰ってきた母は毎回比較的苛々はしておらず、どちらかというと環境への不安と恐怖が勝っているよう。
しかし今日の母は言葉端に少し、突っかかってくるような感じがあるから何かはあるのかもしれない。

昨日はベッドに連れて行ってパジャマに着替えさせたらもうご飯も途中でやめてしまったことを思い出し、帰宅した母をそのままダイニングテーブルにつかせて夕食をすぐ準備した。

失敗したのは、叔父が持ってきてくれたお土産のおかきをテーブルに置きっぱなしにしたまんまだったこと。
母が食べたがった。仕方なく、小袋のひとつを開けてあげた。
夕食の前に少し食べられてしまったが全く食べられないよりはいい。

今日はあなごの蒲焼、青菜の白和え、ひじきと蒟蒻と豆の煮物、ホタテ貝柱のあんかけ(昨日の残り)、ほうれん草のおひたし、白菜の味噌汁を出したが、あなごの蒲焼とホタテ貝柱のあんかけと味噌汁だけ食べているのでどうしたのか尋ねると、「飽きちゃった」と言う。これまでの私のメニューを覚えているんだろうか?
食べ終えた様子だったので、「残してるけど、あまり美味しくなかった?」と訊くと、「おなかがいっぱいなの」と答えてきた。これは嘘っぽい。

あんなに食べ物は残さないように頑張ってきた母が、高熱以降は好きなものしか食べなくなった。

もう18時になっていたので、布団につれていき、パジャマに着替えさせようとしたが「もう倒れそうなの。このまま寝たらダメ?」と訊いてくる。
仕方ないので夜用オムツ装着ついでにパジャマのズボンだけ着せた。
部屋を暗くしてそのまま寝させる。

その後そとに出て、ポケモンGOをしながら買い物に出かけた。
母のズボンが股下が長すぎて危ないので、買ってみた。リハパンとパッドを日中装着していると、けっこう腰回りがパンパンになるのでワンサイズ上で購入。
ちょうど西友がポイントつく日だった。

明日は母と二人で丸一日過ごす最後の日となる。
(特に午後が)怖い気もするけど、もうこれで親子二人で生活する日は最後、下手すると今生の別れになるかもしれないと思うと、たとえ爆発があったとしても我慢できるように思う。

無事に最後の日を過ごせますように。

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