デイケア見学の28日目

朝は8時を過ぎても母が起きてこない。
おかげでしっかり朝食準備はできた。
カーテンを開けて光を取り入れて自然に目を覚まして貰うようにしているのだが、今日はなかなか。
何かのはずみで目が開いたので声をかける。

今日もオネショはしていないので楽。
どうも、母が夜9時台までトイレに起きだしたり、夜用パンツさえ履ければ7回分で持つということはわかった。
今日はデイケアの初見学だから、スムーズに動いてもらえるようリハパンの中にパッドを仕込み、起きてすぐでも外に出られるようなパジャマに見えにくい格好を
してもらう。

午前はココアをあげればまあ、お昼までは持たせられる。
正午にケアマネさんから「救急車に同乗することになってので今日のデイは付き添えない」との連絡。
私じゃ母は頑としてお出掛けの誘いには乗らないから、目の前が真っ暗になる。(そういう事情なのはケアマネさんにも話しているので知っている)

嫌味っぽくなってしまうが「私達だけでエントランスまで行けばいいんでしょうか?」と送ると、「デイの人と相談してみます」とのこと。しばらくして、「玄関まで迎えに来てくれるそうです」と来る。

本当は母のベッドまできて声かけしてくれないと…と思ったがここは頑張るしかない。

見学時間約束の14時、デイケアの人(所長)が来た。
タイミング悪いことに母は声をかけても気付かないくらい寝てる。
それでも何度か声を掛けたら寝ぼけまなこで「用事?」と起きた。そこで間髪入れずに「病院行くからね」とジャージズボン、上着、靴下を履かせることに成功。
これまでのように、お出掛けの必要を説いたり、お出掛けを朝から匂わせると構えさせてしまうので失敗になるのかもしれない。

母には階段の登り降り以外では車椅子に乗ってもらい、車で7分ほどのサービスセンターへ。車中では不安そうにしているから手をさすったり、お花が咲いてるよと気をそらしたりさせる。

センターに到着。入り口から廊下にかけて、お花や利用者さんの手作りの工芸、書道なとが展示されている。
はじめにテーブルと椅子がたくさんある談話室の壁にある手洗い場に誘導され、母も私も手を洗った。談話室では他の利用者さんが麻雀をしている。

母は髪に暖かい濡れタオルを当てられ、サッと簡単なセットもしてもらえたようだ。そっか、ドライシャンプーだとすぐ乾燥しちゃって寝癖直せなかったけどああすればいいのかとそれを見て目からウロコ。

それから隣の部屋に移動した。こちらの部屋は賑やかに、ビンゴをしている部屋だった。
サービスの説明をざっくりうけたり、様子を眺めたり、機能訓練(軽い運動をする部屋)の部屋を見たり。
母は何がなんだかさっぱりわからない、と、不安な顔をしている。
デイの人もこちらが理解できる前提で矢継ぎ早に説明してくるものだから無理はない。病院に行くと言われたからとりあえず来たのに、色んな事ができるお部屋なんですよ楽しんでくださいと説明されたら一般の若い人だって戸惑うだろう。

しかも説明もそこそこにビンゴに参加させられる。
母はビンゴなんてしたことないから、ますますよくわからないまま、誘導されるままに数字の穴を折り曲げさせられている。
この部屋にいる全員がビンゴに当たる仕組みなので、しばらくやっていたら母にもビンゴが来た。
勿論母にはルールがわからないから、代わりに所長が当たりました!なんて盛り上げてくる。

ビンゴのルールも、何がゴール目標か、そもそもこれはゲームなんですよって事からして説明してもらえず、無理やり誘導されるだけなので、私が代わりに説明するが元々興味のない母にとっては無意味な苦行なだけなので、教えたそばから理解してないし忘れる。
意欲のない人に何かやらせようって難しいな。
おそらくスタッフの不用品入れであろう景品箱から、千代紙で作った星のマスコットをもらっておいた。

ここまできて母はくたびれきった顔をしている。
ではそろそろ帰りましょうということになり、また車で送ってもらった。
ずっと車椅子の取り回しを所長に頼んでいたが、エレベーターホールまで来た時にお願いする。
「送り出しは私じゃ難しいのでヘルパーさんに頼むつもりでいるんですが、帰りは私がするので介助の仕方を教えて欲しいんです」

まず車椅子を押すことはまあ大丈夫。
車椅子から降りてもらう時のコツを教えてもらう。
足乗せステップをたたみ、脚を揃えて少し内側にポジショニング、両手を取って立ってもらうやりかた。プロがやると自然とスムーズにサッと立ち上がれる。

問題は、1階分、降り階段があること(行きは登り)。
母は手すりにつかまって、片方の手を支えれば階段の登り降りはできる。
降りる時には怖い〜怖い〜と言い少し気の毒だったがなんとか家に到着した。16時くらい。

今日はデイに行けたご褒美!ということですぐにココアとアンパンを出した。アンパン一個、結構ボリュームがあるのだが、母はあまり興味なさそうに食べ始め、こちらにも半分食べない?と訊いてくるほどだったが断っていたら結局完食した。

甘いものをあげたので持つかと思っていたけど、そこから一時間も立たないうちに食べ物探しが始まった。ベッドに寝たり起きて探しだしたりを繰り返す。
ただの食べ物じゃだめみたいなんだよな。血糖値を安定させればいいという問題ではないみたい。

砂糖依存症の可能性が非常に高いとみている。
砂糖依存症で調べたら、次から次へと欲して要求が止まるところを知らないみたいだ。
今思えば、遠距離でカメラ見守りをしていた時、お茶用の砂糖を一袋、口に流し込んでいたのもおかしな行動だった。

一応、うちがお金が無いから食費にかけられないという話を正直に、順序だてて根気よく話せば理解はできるみたいで、即忘れるという事もなく、探す手も諦めムードたっぷりにはなる。
「この家には食べ物がない。でも他所に行くのは嫌だけどこの家はもっと嫌!」…徘徊の予兆かな?

17時近くになり「この家はもうダメだ。あなたは食べたいものを食べて帰りなさい」と、無表情に母は言ってベッドに行った。
それからベッドからあまり来なくなったので私は夕食を用意し始めた。

夕食を意識的に多くしたけど「お腹いっぱいになれた?」という質問には「なれないわね」と返される。
でもとりあえず落ち着いたので寝支度をさせて台所の片付けをしていたら、また食料探し気味にやってきた。
野菜室からオレンジを見つけられたので、それは食べていいよと示す。

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