母を入所前健康診断に連れてゆく

入所する母の健康診断はご家族様が病院に連れていってくださいとのことで、10時に来てくださいと言われ施設に行く。
これまでのおくすり手帳と健康保険証、参考資料を書いた紙を渡された。
問診の時に参考資料を見せて、医師に質問しておいてほしいと言われた。
病院には検査を頼むことは伝えてあるので、後は連れていき、説明を受けてほしいというわけだ。

6日ぶりの母。一昨日、「5日間、便が出てないので苦しそうです。浣腸を購入して使用していいでしょうか?」という連絡があったが、まあぼちぼち元気そう(?)だ。

母の個室に行くと、下半身がベッドから降りかけようとしていて、上半身は寝ているまんまだ。
「あ、また降りようとしてる」と介護士さんが言う。どうもこの体勢が多いらしい。
たしかに、家にいたときはしょっちゅう起き上がってたからな。でももう体力が追いつかなくなってきて、なかなか体を動かすことができなくなっているようだ。

「今日は病院ですよー」と介護士さんは言い、
ぐんにゃりしてモチみたいに伸び切った母を、ベッドから車椅子に移動させてもらった。
「○○してください」と言われても、それが母にとってダルい内容であれば、従わなくなっている。

ただ、カーディガンを着せかけたあと、前のボタンは全部かけないと母は気になるようで、ボタンかけをするような動作は見せる。が、指は空回りしてボタンをかけることは出来ない…母が、弱々しく小さい声で、「ボタン、かけて、かけて」と言ってくる。

ボタンをかけると、嬉しそうに「ありがとう」と言い、「今日は、よく来てくれたわね」と言った。
どうも、自分が施設に入所していて、私がたまに訪問していることは理解しているようにも思える。

施設が介護車を出してくれて、5分ほどの所にある個人病院に行った。
施設がやってくれるのは、送迎のみ。
私が車椅子を取り回して院内を移動する。
施設かかりつけの病院というから車椅子で移動するスペースが十分あるかと思ったら、どこもギリギリで、通過するためにはドアを手で押さえたり、極力寄せて止めたりしないといけなかった。

また、病院側の認識は私を介助できる前提でいられたから、「検尿できますか?」と言われても、最近の母の状態を知らないでいる私には無理だった。
ましてや母はこれまでかろうじて一人でトイレを出来ていたから、私は介助のやり方を全く知らない。
車椅子から立たせて身長体重を測ろうともしたが、ぐんにゃりして全く立つ気がない母には無理。

心電図を測るため一旦ベッドに移す時は私も手伝いはしたが、60歳くらいの看護師さんは「腰が痛い」と言って途中から受付の若い人を呼んできたりした。
私は私で身長が高いので重い介助をすると腰にすぐ来るし役にたたない。

これ、介助の方法を心得ていて、最近の母の事情もよくわかっている人が病院付き添いしないと本当はダメなんじゃ…?と思う。
介護業界の人手不足事情が、通院には家族をと引っ張り出させているんだろうけど、なかなかしんどい。

検尿は諦めて、身長体重は施設でも測れますよねとこれも諦められて、心電図とレントゲン、問診だけをした。

問診の時に施設から頼まれていた質問をした。
施設でのご飯の食べ方と薬のあげかたの紙を見せて、「食事量が5割以下を切った時には糖尿病のお薬を飲ませるのを控えているんです。この方法をとっていて大丈夫でしょうか?」というもの。
医師は渋い顔をして「大丈夫とも言えないんですが、本来こういう飲み方は…とりあえず(OK?言葉を濁される)。とにかくは検査の結果を見てから」と言った。
まあそりゃそうだよな。お医者さんの立場としては、三食きちんと食べて、適正な時間に服薬を指導しないといけないんだから。
(食べたがって食べたがってしようがない時に、一日5食にしていいか?と訪問診療の医師に質問した時にされた同様の反応を思い出す)

問診がおわり、採血をする。針を刺す時に痛そうな顔をしたがおとなしい。
「病院は、自分を治してくれるところ」と信じ切っているおかげかな。

一通り終わって会計待ち。
母は不安そうに「お腹も空いたし、便も大きいのも小さいのも出そう」と訴えてくる。
12,250円の支払いが終わってすぐに施設に迎車を頼んだ。10分ほどで来てくれる。

ちょうど、12時くらいだったのでそのまま母は昼食に。食事の様子を見守りながら私も来る途中で買ってきたおにぎりを出して食べる。

ふざけて介護士さんが、私の背中側の腰の部分の服を「はい、はい」と言いながら入所者さんへの介助のように直してくれた。
胴長なのですぐ服が上にずれて、腰の所が出てしまう。

母のテーブルには他の介護士さんが入所者さんへ服薬させていたりしていたが、本日非番の私服介護士さんがついて「今晩のご飯なんにするー?」とか私に向かって言い出したりして介護士さん同士相性のよい、陽気な職場のようだった。
その非番の人は、お母さんが私の母と全く同じ生まれ年、誕生日だそうで、小さい頃に亡くなられているそうだが「生きていたらこのくらいなのかなーって思いながらお世話させていただいてます」と言ってきた。
そういうこともあるものなんだな。

女性の介護士さんたちはみな平均50歳〜のような感じだが、一人だけいる20代の若いおっとりした熊さんみたいな感じの男性介護士さんは突っ込まれてイジられているような感じではあった。「すみませんって言うけど本当にそう思ってるー?」とか言われて。まあ介護って圧倒的に女性の仕事になるんだろうし、そうなるだろうな…

今日はこのあいだとちがって、介護士さんも複数人お話することができて、どんな人達に母がお世話になっているのかよくわかって安心できた。