母を整形外科に連れていく

今日は整形外科だ。
いつものように、談話室にいる母を1Fフロアに連れに行く。
今朝の母は、腕の下に小さめのクッションを乗せられていた。

もうこの頃の母は、私が来たから特別な反応ということは特にない。(挨拶だとか、顔をずっと見てきて何か言いたそうにするとか)
暗い目でこちらをチラッと見た後は視線を戻すとかそんな感じだ。

今日いた介護士さんはショートの時からお世話になっている、きっぷの良い女性で、この人が母の食事の様子について語るぶんには、母は自分で意図せずに顎を噛み合わせてしまっている場合があると言う。
この間の男性介護士さんは自分の意思で拒否をする、と言っていたのに、介護士さんによって受け取る印象が違うようだ…
そして、幸いにして、食事をミキサーにかけたような見た目は悪い「やわらか食」は、母が比較的採ってくれているらしい。
意外だったが、母の「生きたい」という意思を感じたような気にもなって、頑張ってくれたら、と思う。

口の両脇に若干傷がある。ガツーンと噛み合わせてしまった時に無理をしているっぽい感じがある。

介護車の準備ができ、一ヶ月前にも内科、神経内科でかかった総合病院へ行く。
こちらでは既に検査もしているから、カルテが共有化されていて整形外科も話が早いだろうということ。

出掛けにこれから行く旨を病院に連絡しておくと、待ち時間を調整してもらえるということで相談員さんが連絡をしておいてくれた。
そのためか、比較的待ち時間は短く順番が回ってきた。
一ヶ月前までは待合室の行き交う人をじっと見つめたり、「まだか。あっちで待たないからじゃないか」等ソワソワしたり、不安そうな顔をしていたものだったが、表情は変わらなくなって傾眠が多くなっている。

母は世代の割に身長が高く、脛が長いため、車椅子に長時間座っているとステップに足を乗せているのがしんどくなるようだ。
いつのまにかステップから足をおろして、ステップの隙間に足を置いて居心地悪そうな足元になってしまってることが多い。
ステップを畳んで足をおろさせた。
足を乗せさせる作業が時間がかかるので、順番を呼ばれてもすんなり動けないのがネックだが母のリラックスにはかえられない。

軽く初めの診察があり、いつから手首が腫れ始めたかや経過を話して、レントゲンを撮る事になった。

レントゲンを撮ったあと、うっかり私が診察カルテ?を受付に戻すのを忘れてしまっていたので、やたら待たされてしまった。
居場所が変わるごとにカルテをそれぞれの受付に差し出さないといけないシステムって事を忘れていた。
そのため、朝の10時頃から来てはいたのに、最後の診察をしてもらうのは正午を回ってしまっていた。

レントゲン結果を見た整形外科の医師からは、「偽関節の兆候がみえます。この、手首が内側に曲がってきているのは認知症(脳)からです。人は歳をとると、胎児の丸まりこむ姿勢に戻っていくように、体が自然と内側に内側に丸まりこみ、これを拘縮というのですがそのまま固まっていってしまいます。そして動けなくなり寝たきりになり、寿命を迎えます」ということを母も一緒にいる前で話された。
医師も判っていてそうしているのか、早口で小さめの声だから聞き取れないかもしれないけど。

対処としては、痛くてもちょっと頑張って曲がった手首を伸ばしてもらうしかないということ。
医師は看護士と一緒に包帯、湿布を用意しはじめた。
痛がる母をなだめながら、曲がった手首を伸ばすようにして湿布を貼り包帯を巻く。
指先の曲がりも伸ばそうと試しかけたが、こちらはもうガッチリ固まりすぎていて、母はもっと痛がったので医師はそれ以上するのを辞めた。

「お薬をだしておきます」
それで、診察は終わった。
終わってすぐに迎車を頼んだのだが、後で考えると、会計+薬処方の時間があるのだからもう少しずらすべきだった…

診察が終わったあたりから、母が少しずつよだれが出てくるようになった。
痛みのストレスでか?

会計が終わる頃にはかなり滴るようになってしまい、私の持ってきたティッシュじゃ足りなくなってトイレットペーパーを持ってくるしかなかった。

今日の薬局は異様に混んでいて、薬が出来上がるまで30分と札が出ていた。
私の手配が不出来だったせいもあるけど、母が白いよだれをだらだら垂らして(苦痛なのかわからないが)待たせているのが忍びなく、受付の人にわけを話して順番をなんとかしてもらえないか掛け合ってみたが無理だった。

自分のその時の病状にもよるだろうけど、私だったら、今まさに苦しんでいる人には順番を割り込みしてもらって全然構わないんだけどなんだかこのシステムが腑に落ちない。
だってコミケだって、トイレはあんなにも長蛇の列になるが急病人は優先されるじゃないか。
きっと、「病状の程度にもよる」に正解は無いし、ガチ切れして公平を叫ぶ厄介な人も出てくるんだろうからもういっそ「公平に」しているんだろうけど…

とっくに介護車の運転手さんは到着して、10分近く待ってもらってしまっていた。
でも、気のせいか思ったより早く順番が回ってきた。
処方された薬は痛み止めと胃薬だった。やっぱり対処しかないんだよなあ…

施設に戻って(先日の会議とは別の)看護士さん、相談員さんに今日の報告をした。
看護士さんからもこれまでの医師同様に、「何かを良くしようとすると他に代償が来る場合がある」という話をされた。
今回のでいうと、痛みを取ろうとすると鎮痛剤の使い方というのは難しく、胃薬を同時に出されるくらいだから胃を荒らす。
そして鎮痛剤もどう作用してくるかわからない。

母にはまず痛みの様子を見ながら鎮痛剤を試す、駄目なら一ヶ月に一度くらいは整形外科に通う必要があるかもしれないという話をされた。

 

 

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