母の特養入所面談

またもショートステイ先に行く。
また少し早めに行って、母の様子を見る。
今日の母は車椅子に乗って、職員さんに移動を介助してもらっていた。

相変わらず硬い表情だったが、私を見ると表情を崩して笑みを浮かべ「よくまあこんなところに来てくれたわね」と言った。
「なんで?○○さんのためなら来ますよ」
「そう?普通だったら、なかなかこんなところ来られないわよ」

家からショート施設への距離も知らない母の、【来られない】の意味が不明だが母は繰り返し「よく来てくれた」と言った。
「○○(私)の顔を今日は見れて、最高に嬉しい」とも言ってくれたが、私は素直に受け取れず、メンタルが安定している日なのかな…と思ってしまう。

暑いとか寒いとか、気温の話をして、他には話しようが無かったから、お互いなんとなくじっと見つめあっていた。
そこで気づいたが、高熱後から少し気にはなっていたけど確信したことがあった。
母の表情、以前とはちがい、顔の半分で異なっている。
片方が顔のパーツがつりあがっていて、片方では下がっていて対称ではない。
これは、高熱を出した時に脳にダメージがいったということだろうか。
ともかくあの日を境にして色々様子がおかしくなったから、関係はありそうだ。

特に話すこともなく手持ち無沙汰だったのと、母に少しでも安らいでもらいたくて、手首〜手やズボンの裾から出ている素足をさすったりしていた。
そうしていたり、ホーム内の様子を眺めたりしているうち約束時間になり、特養の生活相談員さんと介護副主任さん、男性2人がみえた。

最初に私が入所申し込み書を渡したり、ショートステイの入所要項を受け取ったりした。
説明が十分ないまま相談員さんがいきなりショートステイの話をしだしたから、話の流れの中、確認していった。

本入所前にショートステイとして入居し、特養の待機(空き待ち)があるとのこと。
それが、どのくらいになるかはわからないが、見込みとして1ヶ月〜1ヶ月半になり、入所できるようになったら入れるということ。
ただ、住民票を移すのは本入所以降になるから、今住むところが無くなってしまうと各種サービスが受けられなくなるのでショートの間は賃貸が退去できないという話になった。

また、入院や特殊な通院(施設内にも専属のお医者さんはいるが、そこでまかないきれない診療)になった場合、家族にすぐ来てもらう事になると言われた。
これについては私は施設のある地区近くの義実家に住んでいるという建前になってるから、緊急時の駆けつけ約束に関しては少々ドキドキする。
でも同様のことを言われている父の施設ではもう入所半年になろうとするところだが、駆けつけはまだ無いからなんとかなるのかな…
たとえ近所に本当に住んでいる人だって、呼び出し時に海外とか行ってる場合だってあるだろうし、即、駆けつけることが出来ない場合だってあるだろう。

ネットでもこの内容についての相談掲示板はあったが、回答によると、法律的には必ずしも家族に来させてあれやこれやさせないといけないという規定は無いらしい。むしろできる限り、介助等は施設がしなさいよと。ただ、通院は家族が…と規定に定めている施設はそこそこ存在しているらしい。

また、注意事項として、キーパーソンの私の緊急時連絡先の他に、2人分の連絡先がほしいとも言われた。一人は叔父に頼んでみるとしても、もう一人はどうしよう…人間関係が薄い現代事情、こんなガッチリと関係者を確保要求されるのはキツい。父の特養では私の連絡先だけで良かったから、ちょっと戸惑った。
緊急時駆けつけと連絡先確保、頭を悩ませる問題だ。

あとは、今、月にかかっている両親の出費に関してと、施設利用のための費用感の話もした。
課税世帯だと減額免除が受けられない場合があって、都内ではない特養でもそれなりにかかってきてしまいますという話。(18万位か)
母の住民票を父と分ける事で、独居(世帯を分ける?)という扱いにすればまた特例が使えるので減額できるかもしれないとのこと。
だがこれには、両親合わせての預貯金が2千万以上あると減額を受けられないとも言われた。
母を独居ということにして、母の貯金が2千万無いとするならばいけるかもしれないがその時にはまた要相談しましょう、と。
母の貯金がちょうどその辺りをフラフラしていて、生活費の支出はないが国民年金収入はあるので一ヶ月おきに微増している。
独居扱いだとしてもギリギリアウトになるかもしれない。私への生前贈与枠を使い非課税にして、少しずつ貯金をおろしたほうがいいような感じだ。

うちは今、とにかく早く入所したい一心なので、よりお得な施設を選んだり探したりする余地が無いのが実情だ。
とにかく、一番早いレスポンスをくれたこの施設に、入所審査をお願いすることにした。

となると、今いるショートから特養のショートに移るために診療と服薬の確保をしないといけないという話になった。
今は在宅訪問診療をお願いしているという説明をすると、今後は遠くなるし施設内の在籍医師に診療をお願いすることになるから、診療情報の提供書を作る依頼を出してくださいと言われた。
また、移動手続きに時間がかかるので、お薬も多めにもらえる手配をしてくださいとも言われた。

20分くらい、そのような立ち話をしただろうか。
狭いこのショートステイ施設では、打ち合わせルームのような物は無く、廊下にある並んだ椅子は基本、入所者のためのものなので独占するわけにもいかない。
私が生活相談員さんから説明を受けている間、介護副主任は車椅子の母に声掛けをしたり運動機能のテストをしていた。

ショートステイの職員さんに手すき時間を確保してもらえたようで、入所者ルーム内のスペースに椅子を4つ用意してくれた。
そこで、ショートステイの職員さんを交えて、ショート内での生活状態とか母の様子をヒアリングする事になった。

一般浴ができる…自分で食べられる…というのは自宅でも全くできなかった母の様子だが、それでも「以前と違い色々できなくなってきた印象を受けます」とショートの職員さんは言った。
常食(柔らかくしたり刻んだりしない、普通の食事)の完食をする母、終わってももっと、もっとと要求するイメージの母だったけど、食べる時間も一般の人より遅くなり、3割しか食べられない日もある、でも一日を通しては5割は食べられているという話を聞いた。
歩行も自力でできるが歩幅が足の半分ほどになり、廊下などの距離を歩くと疲れて途中で休みが入ると。

特養の介護副主任が手元のバインダーにずっと状態を書き取りながら、「手先の機能はよく働くようですが、趣味などは…?」と訊いてくる。
「体の機能は十分ですが、それを有効にさせてあげる力が不足していて申し訳ない」とショートの職員さんが言った。
「70代くらいまではTVをよく見ていて、映画を録画して観たりしていた。今はTVに興味がなくなってしまったが、動物が映ると癒やされるみたいで見入る」と私が補足した。

そのような感じで生活全体の様子の聞き取り、母自身の情報提供をして、面談は終了した。
3日以内に次の進展をご連絡しますと特養の相談員さんが言ってくれた。

特養の人たちをエレベーターで見送ってから、15分程度滞在し続けた。
母がそろそろ髪が伸びてきたのでよろしければ散髪代を…、とショートの職員さんから言われたので3千円を支払う。
母は団らん室のテーブルでおやつを食べていたので遠巻きにしばらく様子を見ていた。
声掛けしたり、慌ただしく帰ったりすると混乱しそうなので、このまま帰った。

帰り道さっそく在宅診療部に電話して、診療情報提供書と多めの薬の依頼をした。

今日は34℃と猛暑日で炎天下をかなり歩いたせいもあるが、体力も気力も異様に疲れすぎて、家に帰ると塩辛いカップ焼きそばを食べて、2時間ほど寝てしまった。