母の問診票をとりに病院へ行く

関東は35℃を超え、ものすごい暑さ。
なぜ、用事がある日に限って、いつも以上の変な気候。土砂降りだったり、猛暑だったりするんだろう。
加えて今日は、道中の電車が車両故障で途中駅で振替輸送。
なかなか発車せず、戸を開けたままうだる駅でずっと停車して発車時刻を調整する電車。

親を特養に入れて楽をしたのだから苦労をしなさい、と、試練を与えられているのかと思ってしまうほど、何かを行うためにはその前に困難が幾重にも立ちはだかる。

予め電話で初診予約をしておいた、もの忘れ外来のある病院の受付に行き、書類を受け取る。
かなり細かい項目に分かれた問診票だ。
これは、普段、近くで母を看ていて、経過もよく把握してくれている介護士さんに記入してもらわないといけないものだ。

受け取り自体はすぐに終わったが、また駅への往復。
電車は相変わらずなかなか動き出さないし、乗換を要求されて移動に体力を無駄に使う。

問診票を受け取ってそのまま今度は特養へ。
片道20分の日陰のない、延々と照りつけてくるアスファルトが体力を奪ってくる。

いつもの相談員さんがいないので代わりの人に問診票を頼み、ちょっと涼んでから母の様子を見に行った。

手首から先、両手がパンパンに腫れてテーブルの上の毛布の上に手を投げ出すように座らせられていた。

介護士さんいわく、痛がっていて、でも手が固まってしまうのがよくないのでタオルを握らせたりして手が閉じた状態で固まらないようにしたり、毛布の上に手を広げるようにさせているとのこと。

私は母に「痛いよね。良くなるように、お医者さんに予約するからね」

今日は母がわりと話してきた。

「あっちにいるあの人(看護士)に予約をしたらダメよ」
「あっちのあの人(介護士)も何かを頼んだらダメ」

特定の人に対して何か不信に思っていることがあるようだ。
手の状態を看てもらう時に痛い思いをした事があって嫌な印象になってしまっているのか、何なのか…

「絶対頼まないから大丈夫」
「そう?」
母は表情を変えることをしなくなったので無表情で答えてきた。

「うん、大丈夫。安心して」

それから、何を話すこともないので髪を撫ぜていたら、それを見た介護士さん達が「やっぱり家族だと(反応が)違うわねえ〜」と話していた。
髪を撫ぜている最中は、母の目がトロンとしてくるのできっと気持ちは良いんだろう、と思ってしている。
会話はしなくても良い感情を伝えるにはどうしたら良いか?と考えた結果だ。

5分も撫ぜないうち、母がこっちを見て、「もう触らなくていいわよ。ここから早く消えていなくなりなさい」と言ってきた。

「消えていなくなれ」も聞いてきついセリフだが、言葉を選べなくなってきているからこういう言い方になっているんだろうなとは思う。

母は認知症になる前から、実家に行っても「今日はもう早く帰りなさい」とよく言っていた。
実家がろくな居場所じゃないからこんなとこに長々付き合う事はない、という意味か、私がいると疲れるから早く帰ってほしいのかはわからないが。